ご挨拶

 わが国の慢性透析療法は、患者の生命予後からみるかぎり国際的にみて最高の到達点に至っていると考えられます。その点では、わが国の透析患者は世界で最も幸せであると思われます。しかし、現行の透析療法の腎臓代替治療法としての不完全さから、患者は食事を始めとする生活における著しい制限を余儀なくされています。それにもかかわらず、患者は長期生存するにつれて合併症が重篤化し、患者のQOL向上の著しい制限因子となっています。透析患者の延命をより意義あるものに、また苦痛の少ないものにするためには、現行の透析療法の構成因子1つ1つの改善、また、治療システムそのものの変革をも必要としています。
 そのような状況の中で、日本次世代人工腎臓研究会を独立した研究会として再出発することになりました。日本次世代人工腎臓研究会は1992年に発足し、当初は年2回の研究会を行って独自の活動をしていましたが、1994年にはハイパフォーマンス・メンブレン研究会と合同させ、ハイパフォーマンス・メンブレン/次世代人工腎臓研究会としてその活動を継続していました。従来、透析医学は、腎臓内科学や生化学などとともに、膜工学、化学工学、機械工学、コンピュータ・テクノロジーなどを中心に発展してきました。しかし、近年のそれらの科学的進歩とともに、分子生物学、再生医療、遺伝子工学、マイクロテクノロジーなどの新たなサイエンスの進展は著しく、それらの科学のより発展した人工腎臓開発や合併症治療への応用が望まれています。それらのサイエンスを透析療法に積極的に導入し、もう一段進展した治療法として発展させることが出来れば、患者のQOLの一層の向上と延命に寄与するものと考えられます。
 わが国の透析療法と透析施設、そして関連企業のおかれた環境には厳しいものがあることはよく承知いたしておりますが、それだけにより高度な治療技術の達成により国際的に治療技術の発信と優れた機器の提供が可能になることが望まれています。
 皆様方におかれましては、そのような状況をご理解いただき、本研究会にご支援賜りますことを心からお願い申し上げます。

日本次世代人工腎臓研究会 代表  斎藤 明

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